ことのはスケッチ(378) 2010年(平成22年)6月

『レディー・ガガ』

「今、ニューヨーク、飛行機に乗るところ!神戸アリーナで二回、あと横浜のアリーナで二回、「レディー・ガガ」の講演をするから。はじめに大阪に着くの。忙しくてなかなか会えないから大阪まで来てね」とは玉由。
突然こういうことになるのには慣れている。
ただちに新幹線に乗った。大阪の、玉由が泊るはずのホテルで待つことにする。
「今、関空に着いた」「リムジンに乗ったからまだ一時間ほどかかるよ」「日本で使う携帯が壊れちゃったから、ニューヨークの方の番号に掛けてね」。お互い日本に居ながらニューヨーク経由の電波で話をする。
「レディー・ガガ」。しばらくその名前は身近にあったけれど、インターネットで検索してみると物凄い経歴がでてきた。
アメリカのレコーディング・アーティスト。二○○八年発売のデビュー・アルバム「ザ・フェイム」は大成功を収め、アメリカはもちろん、アメリカ以外の国でも、音楽チャートで一位を獲得。「ビルボード」のダンス/エレクトロニカ・アルバム・チャートで一位。
第五十一回グラミー賞、最優秀ダンス・レコーディング賞にノミネート。
二○○九年、二枚目のアルバム「ザ・モンスター」を発表。 「タイム」の世界で最も影響力のある有名人「タイム一○○」のアーティスト部門の一位に選ばれている。
ニューヨーク州の実業家の家に生まれ、四歳の頃には楽譜なしでピアノ演奏ができ、十三歳ではピアノのバラードを作曲した。十七歳で、ニューヨーク大学の超難しい芸術学部に入学。本格的に音楽を学び、作詩、作曲技術を得。十九歳で親元を離れ、ストリッパーなどで生計をたてたりした型破りに、称賛を受け続ける。
そのうえに慈善事業にも大きく関与を続けている。
こんなに素晴しい、大胆、最先端、四次元といわず五次元みたいな世界の人と玉由が関わる。
横浜アリーナの「ザ・モンスター」“THE・MONSTER・BALL・TOUR”にゆく。
横浜の方向へ向くと、この公演に馳せる若い子達が、ガガに近付きたいファッションでぞろぞろ、えらいことになっていた。
チケットはすでに完売なのに、チケットを求める列が会場を取り巻いていた。
ぎっしり満員のアリーナの観客総立ち、ネオンライトと共に、「レディー・ガガ」に反応、ゴーと轟く歓声と、これ以上の拡大音はないだろう大音響で、身体の全細胞が痺れる。空気ごと。建物ごと。
舞台装置など飛行機二機をチャーターして運んだのだという。
バックダンサー、スタッフ、ボディガード…「レディー・ガガ」のショーを支える人達九十六人、アメリカからやってきたそうだ。
四次元の奥ゆき、新しい素材の衣装、ダンス、ほとんど裸、足まで使ってピアノを弾いてしまう。
驚きと、面白さと、私の新しい部分が加わるのだった。

 
 

 


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