ことのはスケッチ(384) 2010年(平成22年)12月

『アミノ酸』

 「水」、「コラーゲン」。少しづつ…自分なりの納得をしながら、「生命の誕生」に参加していたい。
 今度は、生命に不可欠の存在の「アミノ酸」を知りたくなった。
 この頃、アミノ酸は、美容や健康や…よくでてくる名前で馴染みになっている。
 そのアミノ酸は、生命そのものを生みだす物質であり、すべてのタンパク質の基本構成単位。二十種類のアミノ酸の分子の繋がり方によって、さまざまな特徴のタンパク質になるという。
 雷や隕石の衝撃、海底の熱水噴出孔の熱、大気中でもアミノ酸ができると分っている。
 分子雲中の分子の水、一酸化炭素、メタノール、アンモニア…などに、宇宙線や紫外線が当ることにより、種種な有機物が生成される。
 五億年前の三葉虫の化石からアミノ酸が検出され、隕石の抽出物からも多種類のアミノ酸がみつかり…生命のもとは、宇宙と地球と一体であることがわかる。
 一九五六年代、ユーレイ博士とミラー博士は、無機物から放電により、アミノ酸を含む有機物を生成することに成功したが、タンパク質が出来るアミノ酸の、生命に役にたつタンパク質は、あまりにもわずかであり、どのような反応があって、生命を生みだせたのか、まだわかっていない。
 放電とか雷とか…思い出した。幼い頃から雷鳴、線光、稲妻、稲光り…激しいこと、美しいこと、たまらなく好きだった。
 祖父母が蚊帳をつったり、雷除けのまじないの短冊を箒を使って天井に張ったり、「くわばらくわばら」ということもおもしろかった。
 雷鳴は、放電の際の空気が膨脹し、音速を越えた時の衝撃波で、落雷、放電により稲穂が感光することで豊かな稔りになるという。
 「稲の花が咲く頃稲妻が多い年は、お米が豊作になること、おいしいお米になること」雷に夢中な私に、母が教えて下さった過去。
 雷の空中放電により空中窒素が分解され、雨水により地中に溶け、植物の成長に欠かせない。
 窒素とは、タンパク質、アミノ酸の主要元素にして空気中に約七十八%もふくまれている。アミノ酸をはじめ、多くの生物の必須元素。
 人が肉類、穀物などを食べると、そのタンパク質は二十種類のアミノ酸に分解され、体内でまた体タンパクに組み換えられる。そのとき、十一種のアミノ酸は他のアミノ酸から体内で合成し、補うことができる非必須アミノ酸。他の九種のアミノ酸は食物より摂取しなければならない必須アミノ酸。
 雷のエネルギーの凄まじいこと、物凄いものをもたらせているに違いないこと。
 宇宙も想い出も、何一つ切り離すことのできない命のなりたち。一つの命として生きていることを、しつかり味わいながら。

 
 

 


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