ことのはスケッチ(406) 2012年(平成24年)10月
『葡萄畑』
何時でも何処でも、「スケッチしたい」と思い続けている。実際に、絵を描くという状態にはなかなか整わない。
留まれない場所だったり、天候に左右されるし、物騒であること、危険をともなうこと、時間が足らないこと、勇気がでないこと…いくらでも不都合は押し寄せる。
気弱くなってしまっていたけれど、素晴しい解決策をみつけた。
『イラストレーター・画家・永沢まこと先生の引率するスケッチ講座』早速参加して虜になってしまった。
『街で人物をスケッチするコツ』。はじめての講座は、教室を電車内に設定し、シュミレーション・スケッチ。参加者がお互い、スケッチャーになった。電車や街で見知らぬ人を、サッとクロッキーしてしまう方法を学んだ。
ニューヨークや世界中をスケッチして巡られた先生の作品にびっくり。私がどうしても描けなかった場所の風景に、街をゆく人物が描かれている。
観察が深いほど線を引く決断も潔くなり、勇気をもって美しい線が引けることを教授下さった。一本の線で、姿も雰囲気もみな伝うような…そんな線をめざして来た身にありがたかった。
次の講座は、チャーターされたバス。十五人程引率されるのに混った。
四時間バスは走り、道中お弁当も用意されていて、伊豆稲取の動物園、アニマル・キングダムに着いた。ウオーキング、サファリ、動物達にとてもとても近付ける。何不自由のない所。先生はご自分の絵を描かれるのに集中しておられる。こもごも気に入りの動物と心ゆくまで付き合える。
キリンの親子。サイが二匹。ホワイト、タイガーがガラス越しの足元まできてくれる。ライオンもウトウトしている。本物の動物と身近になれ、帰りのバスの中で、皆の成果を見せ合い、先生のコメントをいただき、東京に戻った。
次。トンネルばかりの道をひた走り、景色にりんごの木、栗の木が多くなって小布施に着いた。
あまりに見たい、知りたい、描きたい…が多く、うろうろしてしまう。小布施風建物。小道をゆくその足元。メタセイコの巨木。こよなく「北斎」の世界にひたり、“栗のおこわ”のおいしかったこと。また行きたいことを残した。
次。勝沼の山のなだりにふうわりと、葡萄畑が続いている。その畑の中でスケッチをするのが目的。
葡萄畑はどこまでも続き、全部の葡萄の房が白い紙袋に治まっている。一房につき葉っぱが幾枚と管理されていること。デラウェア畑は、一粒の種もゆるさぬ種なしの構えをしっかり描いた。
アンデス山脈の麓の葡萄畑やヨーロッパの葡萄畑、もちろんワイン用の畑だったけれど日本と雰囲気がこんなに異なること。日本に居ることをつくづく思う。
次。
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