ことのはスケッチ(417) 2013年(平成25年)9月

『グレート・ジャーニー』B

 地球の上で、私の女の子が自分の力で生きてゆくように…そのためには何をしなければ…。
 まだ、わけも分からない幼子を連れ、アルゼンチンの大パタゴニアを見せることにする。

○プエルト・マドリンまでは飛行機でゆき、「すぐそこ」と言われ、車に乗った目的地は、一日がかりのデコボコ道、不毛に見える草原を、ニャンドウ(ダーウィン・レア)が遠くに見え、近くはバタバタ車に伴走(?)する。グァナコ(リャマより小さい)と目が合う。ブッシュには限りなく土着の動物達がいるだろう。本物のパタゴニアを走り、大西洋に面したバルデス半島へ。
 巨大な象アザラシがゴロゴロドテンドテンと群れて、その頃は柵も無く、どんどん近付けた。でも大変。ペチャンコにされてしまう。オタリオの群。海には、大きな背鰭が見える。
 また車の移動。プンタ・トンボへ。マゼランペンギンの群棲地。ペンギンとは氷の雰囲気に居るものと思っていたのに、海に続く牧場、夥しい穴が開いている。ペンギンの巣なのだと。五十万羽はいるという。馬や牛がいて、ペンギンがいて。灌木の木陰にもペンギン。ペンギンくらいの大きさだった私の女の子が、ペンギンと走る。ペンギンにつつかれそうになる。

○アンデス山脈の麓、サンマルティン・デ・ロスアンデスへ。ブェノスアイレスから、ベビーシッターのマルガリーターもスキーの道具も当人達も、みな積み込んでのドライブ。子供達に、スキーを経験させる試み。
 パンパスを走っているうちは快適だったけれど、アンデスの山にわけ入るあたり、雪が降りはじめ…どんどん積る。運良く咄嗟のホテルに避難出来たけれど、しばらくは雪に閉じ込められ動けなかったのだった。
 それでもようやくスキー場に辿り着き、季節が異なるヨーロッパや暑い國のオリンピック選手達がトレーニングしている雰囲気に、私の小さな女の子達が、最も小さなスキー板でチョロチョロしたのだった。
 帰途、国立公園の中の、おとぎ話のよう、それはそれは美しいキラキナという小さな町に寄る。リンゴの木が生えている土地を売っていたから、買ってしまった。日本にすぐ帰れるように、安心の預金を全部叩き。

○パタゴニアの入り口、サンカルロス・デ・バリローチェにもスキーにゆく。
 森と湖と雪と山と空と空気と…神々しいほど美しい。ウォルト・ディズニーの「バンビ」が出来たマラジャーネの森もある。湖の辺にロサ・モスチータの実が赤く、ジャオジャオホテルの朝食のジャムになっていた。
 この国際的なスキー場で、私の女の子達が、小さなスキーですべり降りてくるのを見るのは、とてもうれしかった。
                                 つづく

 
 

 


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