ことのはスケッチ(420) 2013年(平成25年)12月

『ビックバン』

 その時の宇宙全体が、灼熱の「火の玉」となった「ビックバン」がおきた。138億年前には爆発するだけの大きな要素があった訳で、何もないところが爆発するはずがない。いったい何が爆発を誘発したのだろうか。
 宇宙に関しては、ここから先は何も無いとか、線を引くとか、境界とか…ふさわしくないと思う。私の頭で考えることが出来ない。無限大と無限小で、宇宙は出来ていると思っている。
 一番大きな宇宙から、一番小さい素粒子をみつける。宇宙の“なぜ”は、解き明かす専門の科学者方々の発見のニュースを待っていれば良い。
 “そうだったのか”と、受け入れても、受け入れても、“どうして”は続く。
 本を読む、つくばのKEK高エネルギー加速器、測定器を見にゆく。公開講座にゆく。本郷キャンパスでの公開講座にも出席する。
 近く近く、加速器に添って歩いたり、むかし、鉄にコイルを巻いて磁石を作ったことが思い出される…その時の磁石とは測り知れないへだたりはあるけれど、なんだか親しみが湧く電磁石が限りないほど並んでいる。これが加速器。陽子を光速近く走らせ、その陽子と陽子を正面衝突させ、飛び出てくる未知の素粒子を調べるのだと。
 このような操作により、宇宙の元が作り出せ、より精度、パワーを増すことで、もっともっと、知りたいことを知ることが出来る。
 もう安心して待っていれば、かならず大発見のニュースがやってくる。
 加速器とは、テレビのブラウン管、電子レンジ、スキャンしたり、MRIなど医療装置…身近にいつの間にか多く利用されていることを知る。
 ヒッグス粒子が発見され、これが最後の小さい粒子とは決められないことがわかった。
 ビックバン直後はとても熱く、素粒子は皆、光と同じ速度で飛び回っていたという。宇宙が冷えると、ヒッグス粒子が動かなくなり、他の素粒子はヒッグス粒子の影響で動きづらく、その動きにくさが質量なのだと。
 人工ビッグバンで宇宙の始まりと同じ状態をつくる加速器で粒子同士を衝突させ、粒子が砕け散るのだと思っていたら、砕けるのではなく、新しい粒子が“とびだす”のだそうだ。
 そうと決まれば、まだまだ新しい粒子が、いくらでも潜んでいるのではないか!
 今、私が解らないのは、どうして光子はヒッグス粒子と作用せず質量ゼロのままでいるのだろうか。
 宇宙空間のあらゆる場所、真空中、空気中、物質の内部…ヒッグス粒子が満ち、他の素粒子を動き難くすることで、原子が生れ、原子から物が出来、宇宙も地球も、人間も…あらゆる物体の構造が、バラバラにとび散ってゆかないで保たれるようになっていると。
 この頃、ヒッグス粒子に守られている自身をみつめ、なんだか孤独ではないような…安心してぐっすり眠る。

 
 

 


Copyright (C)2002 Yuri Imaizumi All Rights Reserved. このページに掲載されている短歌・絵画の無断掲載を禁じます。