『貫名海屋　私注』⑧

大田垣蓮月七十七才の和歌、鉄斎三十二才の俳画
　【一月】
　万世の　春のはじめと　うたふなり　こは敷しまの　やまと人かも
　【二月】
　たをり来し　松の下枝は　むかしにて　けふはつ午の　いへづとぞこれ
　【三月】
　このとのに　けふ咲花は　いくはるの　もゝ悦の　はじめなるらん
　【四月】
　かけそへし　処やみたれん　玉だれの　をすのあふひに　風なふきそね
　【五月】
　ふきわたす　あやめにおのか　時しらは　のきことになけ　やまほとゝぎす
　【六月】
　人の世も　上中下と　かはのせに　心々の　みそきすらしも
　【七月】
　世の中に　みのなりいてゝ　おもふこと　なすはめてたき　ためし也けり
　【八月】
　のに山に　うかれ??て　かへるさを　ねやまておくる　秋のよの月
　【九月】
　しらきくの　枕にちかく　かをるよは　夢もいくよの　秋かへぬらん