ことのはスケッチ(447) 2016年(平成28年)3月

『天田愚庵』つづきC

「和歌山」

 ニューヨークより、「年末年始は日本へ行きます」「お節料理は、日本のデパートから、三十一日に東京の家に届くよう注文済み」「京都と大阪と東京での仕事の合間に、和歌山のパンダに逢いにゆく」「パンダ塾生になる予約をした」と知らせがあり、ひとり居生活は、家族という騒動となる。お正月をそそくさと祝い、たちまち新幹線に乗っていた。
 「NYの子達の、日本でしたいこと」の中に、私の「是非知って欲しいこと」を、さりげなく盛り込んで旅のはじまり。

  • 京都での仕事を終え、天田愚庵さんが「西国三十三所巡礼に出られた。産寧坂の「愚庵あと」よりはじめる。和歌山へ向けて。
    今、住んでいる東京、「王子」の由来の熊野の神社。古道を歩き。
    那智の滝水を素焼きの盃にいただき。愚庵さんを偲ぶ。
    アドベンチャーワールドの七頭のパンダに会ひにゆく。パンダ塾生だから、到れり尽くせりにパンダ達と過し、注意深く接しないと生きてゆかれない動物であること…それよりも何より、何と可愛いい。
  • 博物学、植物学、生物学、民俗学、藻類、粘菌、菌類学…南方熊楠博士の和歌山。
    東京大学の同窓生には、夏目漱石、正岡子規…。熊楠さんは、学業そっちのけで遺跡発掘や、20歳で渡米され、それよりロンドン、サンフランシスコ、フロリダ、キューバ…アルゼンチンのパンパにまで研究の旅をされている。那智周辺での植物調査、那智の原生林を守られたこと。記念館が立て替え中の休館。改めて出掛けることを心に決めた。
  • 南紀白浜の京都大学、白浜水族館。京都大学の久保田准教授と、小さな奇縁があり、ベニクラゲの研究に興味。
    商業的に、観せるためではない、記録、観察という雰囲気の水族館がうれしい。
    ベニグラゲはどこにいるんだろう…空っぽみたいな水槽に、ルーペがぷらさがっていた。ルーペして、とても細い糸のようなものが見えた。よくよく見ると点がある。これがべニクラゲのポリプだった。
    成長して傘の大きさは約1p。透明な体に紅色の消化器官が透ける。「捕食されない限り死ぬことはない」という。
    老衰で死ぬ寸前に“さなぎ”のような状態になり、その中で細胞が若返り、生まれたばかりの姿に戻り、また成長を始める。
    久保田准教授は、10回続けて若返えらせることに成功されたそうです。
    ベニクラゲは、もう一つの「死なない方法」をもっている。
    成熟ベニクラゲが有性生殖し、受精卵からの幼性が、岩などに付着し、植物の根のような走根を伸し、そこからクラゲ芽の形成、ポリプが成長伸び上り、分離して泳ぎだすという無性生殖でも生を続ける。
    ベニクラゲの「死なない遺伝子」の組み換えが出来たら…。
  • 熊野の原生林は、命と心と…とにかく原点への思いの湧きいずるところ。ひとりでは出来なかっただろう大冒険、おかげで若返ったような気持になっている。
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