ことのはスケッチ(338) 2007年2月 『お正月』
無理無体"何か"に夢中になっていないといられない性格をしていると、このごろ自分を分析する。
小さかった子供達を巻き込み、遮二無二突っ走っていた後遺症か、私も子供達も今もってゆっくりする、ということが出来ない。
一週間、飛行機に乗らないでいることが無かったほど、地球をとびまわり、地球を六十周まではかぞえたけれど、後はわからなくなった。
こんな生活が、普通のことと育った子供達は、独立した今、あきれるほど動き回っている。
「今どこにいるの」と尋ねることから電話の会話がはじまる。
「どこに居るのかわからないといけないから、報告するね」
と掛かってくる。
「インドへ行くの」
「だって、年末には日本に来るって言ったじゃないの」
「インドに行ってきてから、日本に行くから」。
一日、ほとんど十五時間とも、全責任を負う仕事をしている由野。
それで、なおかつ夜な夜な、美酒、美味にいて、休暇には、世界の
"どこ"にでも出没する。ヨガを、人体デッサンを、いつの間にかフランス料理のシェフにもなっていた。今度は、シルクスクリーンを、とか言っている。
玉由の方は、定まった仕事ではないから、その"動"はもっとすごい。週に二〜三回は、飛行機に乗っているはず。
年末年始を共に過ごすべく、ニューヨークより私の家までは来てくれた子供達。後はもう、どこにも行きたくはない、どこかの温泉、観光、とんでもない。私達3人、とうとう力尽きた。
「お節料理は食べない」との申告があり、歌番組は、知らない人が、知らない歌を歌っているばかりで、見なくてもいいと言い、里芋とコンニャクと水菜だけのお雑煮の注文はあり、これだけでお正月の仕度は終了。
私のパソコン用の丸テーブルに、三人のパソコンを接触するほどに置き、三ヶ日をずっと「パソコンごっこ」ですごした。
日頃、出来なくて溜まっていたことを、それぞれわき目もふらず…。
三日目くらいになると、だいぶゆとりが出来、『おめでとう、今年もよろしく』と、獅子舞動画がピーヒョロ音楽付のメールとなって、わずか五センチほど離れたところより届く。
雪の結晶がクリスタルの曲と共に降り続くメールは、反対側の五センチほどより届けられた。
世の中、こんなに面白くなっていて、最先端に参加でき、由野の休暇を煩わせ、"教えて貰わないと困る"ことは、沢山解決してしまった。
それから今度は、「格付けごっこ」をして遊ぶ。
納豆の味とか豆とか、納豆菌にも思いを馳せ、味わい分ける。
これは、小さい時から納豆ばかり食べている玉由には勝てない。
ワイン、日本酒、泡盛…あれこれ言ってみるけれど、お酒であるならば、アルコール度があれば、OK.お酒類には三人揃って寛大。
知っていたつもりの子供達の味覚の範囲が、大きく広がっていて、いろいろなことをしているのだな!一生懸命生きているんだな!。
腐りゆくものを置かないことに情熱を注ぐ私の家で、なんとか飢え死しなかったお正月でした。
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