ことのはスケッチ(310)信州『白砂に清き水引き植ゑならぶわさび茂りて春ふけにけり』 私の毎日の場に、土屋文明先生が書いて下さったこの歌の色紙が架けてある。活字で読むのとまた違い、先生が書かれたときの息吹きが、歌のリズムが行間からあふれ、さわやかな自然の風を受けているような、未知へのあこがれに満ち、心を、個性を、人間であることをしみじみ思い起こす。 この色紙が私の手許にある経緯。私の父母は、アララギ派の歌人であり、土屋文明先生を心より慕い、敬った一生だったこと。縁あって家族になれた高山福子母は、土屋先生の信州教職時代の数少ない生徒のひとり、土屋文明歌集の『某日某学園にて』に詠まれている。
高山母は、土屋先生の教えに忠実にしたがい、家族をもってからも歯科医師として自立した気高い生涯をおくった。 |
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土屋先生が出席された信州の女学校の同窓会の折り、高山母に、今泉との縁をよろこばれた先生が、短歌を続けたい私へと色紙を託してくださった。 私と同じように、外国で生まれた子供を、出生地、日本、世界、にいかに適応できるように育てるか・・・という同じ次元を経験したブラジルの友達が、彼の故郷上諏訪でインターナショナル・フード・マーケットを始めた。久し振りに会いたかったし、新しい店のお祝いも言いたかった。 土屋文明歌集 『上諏訪雑詠』
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信州ゆかりの今は亡いなつかしい人達が眺めたでしょう、山並、湖、町並・・・。 そっと眺めるつもりだった信州を・・・ちょつと厚かましかったことを恥じつつ。 |
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